第8回 ステロイドによる多飲多尿とは

副作用のない薬はないと言われていることは皆さんもご存知かもしれませんが、ステロイド薬は副作用のほうが有名な薬かもしれません。
まずは、基本的なお話からしていきましょう。

ステロイド薬の主な作用は、糖質コルチコイド作用として抗炎症作用、免疫抑制作用、鉱質コルチコイド作用としてナトリウム貯留作用があります。

では、どのような病気に使用されるかというと。

  • 糖質コルチコイド作用を期待し
    • 喘息やアレルギー性気管支炎など気道疾患
    • 炎症性腸疾患などの消化器疾患
    • 外耳炎や皮膚炎などアレルギーが関与している場合
    • 脳浮腫や椎間板ヘルニアなどの神経疾患
    • リンパ腫など悪性腫瘍
    • 免疫介在性溶血性貧血などの血液疾患
    • 敗血症などのショック状態
  • 鉱質コルチコイド作用を期待し
    • 副腎皮質機能低下症(アジソン病)によるナトリウムの貯留

などに利用されます。

ステロイド薬の種類や作用の強さなどは様々存在しますので、ステロイド薬といっても一種類ではありません。

そして問題となる副作用においてですが、人よりも犬では副作用発現が少ないのは事実です。
副作用としては、多飲多尿、下痢や嘔吐、免疫抑制、食欲亢進、肥満、感染症などが見られることがわかっています。

そこで、なぜ副作用が有名になったかというと、もちろん人では問題視される副作用が多いことが挙げられます。(顔などが腫れるムーンフェイスがよく知られています)

では、それでもなぜステロイドを使用するのか。
それは、デメリットよりメリットが大きいこと。そして用法用量を守れば、犬の場合は副作用などが出にくいことが言えます。

問題になる副作用は、非可逆的いわゆる治らない副作用です。
そうならないように、用法用量をしっかりと守ることが大事と言えます。